調査・質問内容

質問番号 0010005601
状態 受付済
質問日 2020/10/12

国勢調査は、参加義務があり、回答しないと罰せられると聞いた。
(1)国勢調査の回答を拒否すると罰せられるとしている法律は何か。
(2)これまでに国勢調査を拒否して罰せられたという例はあるのか。

図書館からの回答

回答状態 公開済
公開日 2021/08/26
関連質問番号

(1)国勢調査回答拒否の罰則が定められた法律
以下の情報から、国勢調査回答拒否の罰則を定めているのは統計法第61条第1号であることが分かる。

情報1
「令和2年国勢調査に関するQ&A (トップメニュー)」(総務省統計局)(最終アクセス日:2021年7月30日)
https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2020/qa.html
「問1-10 回答したくない項目があるのですが、記入しなくてもよいのですか。
国勢調査の調査項目は、我が国の人口・世帯の実態を把握するために必要不可欠なものであり、そのため、統計法によって、調査対象者に回答していただく義務(報告義務)を課して行っているものです(統計法第13条)。また、報告を拒んだり虚偽の報告をしたりした場合の罰則も規定されています(統計法第61条第1号)。」

資料1
巻末の参考資料に平成27年国勢調査の調査書類が収録されている。
「参考 8 調査書類 (2)調査表記入のしかた」(p.508-533)の「統計法(平成19年法律第53号)(抄)」(p.523)に、罰則の部分(第61条第1号)が掲載されている。

現行の「統計法」の内容は、以下のウェブサイトで確認できる。
情報2
「統計法」(電子政府の総合窓口e-Gov(総務省))(最終アクセス日:2021年7月30日)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=419AC0000000053_20190501_430AC0000000034&keyword=%E7%B5%B1%E8%A8%88%E6%B3%95
「第六十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第十三条の規定に違反して、基幹統計調査の報告を拒み、又は虚偽の報告をした個人又は法人その他の団体(法人その他の団体にあっては、その役職員又は構成員として当該行為をした者)」

(2)国勢調査回答拒否で罰せられた例
以下の判例データベース、新聞記事データベースを<統計法><国勢調査><罰>のキーワードを組み合わせて調査したが、国勢調査回答拒否で罰せられた例は確認できなかった。
・法情報総合データベース D1-LAW(第一法規)
・判例秘書INTERNET(LIC)
・聞蔵Ⅱビジュアル (朝日新聞社)
・ヨミダス歴史館 (読売新聞社)

以下の記事には、回答拒否の罰則が適用された例がないと記述されている。ただし、自治体側の虚偽記載については、逮捕事例がある。

情報3
「ヨミダス歴史館」(読売新聞社)
『読売新聞』2020年8月12日 大阪朝刊 1面「国勢調査で不適切集計 大阪市など 人口計上に住基転用 非回答世帯増が要因」(最終アクセス日:2021年7月30日)
国勢調査について「統計法で回答が義務付けられ、拒否には罰則規定もあるが、適用例はない。自治体側の虚偽記載も罰則対象で、人口を水増しするために居住実態がない人らを計上したとして、2013年には愛知県東浦町の前副町長が逮捕された。」と記述されている。

以下の2006年の記事では、総務省の有識者懇談会の提言を紹介し、「調査妨害」の場合に罰則規定の適用に踏み込んだが、個々人の調査への回答拒否については慎重な立場を取っているとしている。

資料2
『朝日新聞』2006年7月25日 朝刊 3面「ニセ国勢調査に罰則 昨年続出、摘発へ法改正 総務省有識者懇が提言」(p.1337)
「強制力のある「実地調査権」を調査員に付与。管理人がマンションに立ち入らせないケースや、回答拒否を呼びかける者が現れた場合などを想定し、統計法にある「調査妨害」の罰則規定(6カ月以下の懲役・禁固または10万円以下の罰金)の適用に踏み込んだ。
同じ罰則規定がある個々人の調査への回答拒否については「慎重な検討が適当」と述べ、国民の義務であることの周知徹底が先決だという立場をとっている。しかし、懇談会では刑事罰に積極的な意見も強く示されており、今後「厳罰論」が浮上する可能性もある。」

また、国勢調査の事例ではないが、旧「統計法」(平成19年に全面改正される前の旧法)第19条1号(現第61条第1号にあたる)の違反事例は以下の資料に掲載がある。

資料3
p.70-71に、1947(昭和22)年の「農林水産業調査」、1950(昭和25)年の「1950年世界農業センサス」における罰則適用事例が掲載されている。

参考文献

タイトル 注記
【資料1】日本の人口・世帯 平成27年 国勢調査最終報告書 / 総務省統計局編 / 総務省統計局 / 2018.12<DR/358.1/5169/2015> p.523
【資料2】朝日新聞 縮刷版 / 1021号 (2006年7月) / 朝日新聞社 p.1337
【資料3】我が国の統計制度 統計の総合調整と統計法規の解説 / 坂本佶三著 / 全国統計協会連合会 / 1991<3501/3013/91> p.70-71

転記用URL

https://catalog.library.metro.tokyo.lg.jp/winj/reference/search-detail.do?qesid=0010005601&lang=ja

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