調査・質問内容

質問番号 0010006321
状態 受付済
質問日 2021/05/02

日本人の味覚・嗜好について、歴史的、環境的観点から知りたい。

図書館からの回答

回答状態 公開済
公開日 2023/03/17
関連質問番号

1 都立図書館の蔵書を調べる
都立図書館蔵書検索を、キーワード<味覚><舌><日本><日本人><嗜好><好み><食文化><和食><日本料理><歴史>で検索し、ヒットした資料を調査した。
分類<383.8:飲食史[食制]>、<498.5:食品・栄養>の書架を確認した。

資料1
p.53-56「7 日本人の味覚」(小林宏光)
「日本は四方を海に囲まれ独自の食文化を発展させてきており、日本人の食物に対する嗜好性が他の人種・民族と異なっているのは明らかである」(p.53)といった記述がある。
また、「うま味」や味の感じ方の人種差等を検討したうえで、「日本人と他人種との食品の嗜好の差は遺伝的な要因に起因するのではなく、後天的・文化的な要因によって生じていると考えられる」(p.56)と結論づけている。
章末には参考文献も多く紹介されている。

資料2
p.126-147「第II部 第1章 現代日本人の食嗜好 味の素「嗜好調査」より「性」「年齢」「地域」との関係を検証する」(朝倉寛)
味の素株式会社が2000年に実施した食べものに関する嗜好調査をもとに、性、年齢、地域を切り口として日本人の食嗜好を紹介している。
p.126「表1 調査概要」によれば、調査対象は「全国15~79歳の男女」で、サンプル数は「5,033人」とある。
p.142-146「IV 「食嗜好」を規定するさまざまな側面」に、同調査結果を踏まえて、食の嗜好形成に関する5つの側面がまとめられている。

資料3
「味」の研究者が書いた、旨味や日本人の味覚に関する図書。
p.71-104「第2章 日本人にとっての「おいしい」とは何か」、p.105-142「第3章 「コメの甘さ」がわかる日本人だけの味覚センサー」等の章がある。

資料4
平成29年度に文化庁が行った調査の報告書。
p.3-34「第1章 食文化についての国民意識調査」に、食文化に関するアンケート調査結果が記載されている。
好きな味等については調査されていないが、興味・関心を持っている食・食文化等について調査されている。
「1.調査概要」(p.5)によると、対象は「全国の15~79歳の男女」で、回収数は「5,000サンプル」。
この資料は以下のウェブサイトでも閲覧が可能。(最終アクセス日:2023年2月27日 以下同じ)
「生活文化調査研究」(文化庁)
https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/seikatsubunka_chosa/

資料5
p.75-93「IV章 日本東西の嗜好と食文化の差」に、東と西の味に対する評価の差について記述がある。

資料6
p.135-161「第3部 第8章 日本人の味覚と嗜好」(沖山敦)
p.152-153「(1)人口統計学的要因による嗜好の解析 2 地域と嗜好」に、「図8-2 地域別にみた食品の好みの傾向」(p.152)という図が掲載されている。

2 学術論文を調べる
「CiNii Research」(国立情報学研究所)( https://cir.nii.ac.jp/ )、「J-STAGE」(科学技術振興機構)( https://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja )を、キーワード<味覚><舌><日本><日本人><嗜好><好み><食文化><和食><日本料理><歴史>で検索し、ヒットした論文を調査した。

資料7
p.695-699「日本人の食物に関する好みの特徴並びにその変化」(山崎英恵、伏木亨)
p.697「ねばりが好きな日本人」や、p.697-698「赤身肉より霜降り肉を好む日本人」に、日本人の食の好みについて記載されている。
この論文は農林水産研究に関する国内の論文・情報を収録したデータベース「AgriKnowledge」(農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター)で公開されている。
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010852980

資料8
p.468-477「味覚の形成と次世代への継承 だしの文化とアミノ酸の味」(二宮くみ子、鳥居邦夫)
p.475-477「7 嗜好性の形成と次世代への継承」に、幼少期に何を食べたかによって食物の嗜好性の基本が決まるという記載がある。
p.476には、資料2で紹介した「嗜好調査」による「日本人の好きなメニューベスト10」の結果が掲載されている。
この資料は「J-STAGE」で公開されている。
https://doi.org/10.6013/jbrewsocjapan1988.100.468

資料9
p.39(547)-45(553)「シリーズくらしの最前線 107 食文化の受容と変容 「だし」の視点から」(河野一世)
日本の食文化と「だし」について論じている。
p.39(547)-44(552)「2 かつお節だしの食文化的研究」に、「(1)日本の気候・風土とかつお節だしとの関わり」(p.39(547)-40(548))や、「(6)だしへの強い嗜好性が食文化受容のカギ」(p.42(550)-44(552))といった、環境的、歴史的観点からの日本の食文化について記載されている。
この資料は「J-STAGE」で公開されている。
https://doi.org/10.11428/jhej.68.547


3 アンケートのデータを調べる

情報1
「生活定点1992-2022」(博報堂生活総合研究所)
https://seikatsusoken.jp/teiten/
首都40km圏と阪神30km圏の20歳~69歳の男女(国籍等については記載なし)へのアンケート調査を基に作成されたデータベース。隔年で実施。
「データを見る>カテゴリーから探す>03食」では、「好きな料理ベスト3は何ですか?」等の質問による調査結果を基に作成された食に関するランキング等が掲載されている。
「2022年調査結果の要点をまとめたリリース」( https://seikatsusoken.jp/newsrelease/19541/ )によれば、調査地域は「首都40km圏」「阪神30km圏」で、調査対象は「20歳~69歳の男女」、調査人数は「3,084人」とある。

情報2
「Mpac」(富士経済ネットワークス)
「消費者アンケート>生活シーン>食生活」に、「食に関するアンケート調査」「味覚と食育に関する意識調査」「お子様の好きな野菜は何ですか?」等、約250件の調査結果が掲載されている。
ただし、調査範囲や対象等はそれぞれ異なる。

情報3
「NRCレポート あなたはどっち?日本人の好み調査【Part1:食の嗜好】」(公表日:2016年6月15日)(日本リサーチセンター)
https://www.nrc.co.jp/report/160615.html
調査対象は「全国の15~79歳男女個人」で、有効回収数は「1,200人(サンプル)」とある。
調査結果のPDFが掲載されており、例えば、スライド4に、エリア別にみて全体と異なる傾向がみられた項目がまとめられている。

4 専門機関で調べる
さらに詳しく調べたい場合は、専門図書館を利用する方法がある。
情報4
「食の文化ライブラリー」(味の素食の文化センター)
https://www.syokubunka.or.jp/library/
東京都港区高輪3-13-65
食分野に特化した食の専門図書館。
江戸時代の古い資料から新刊本まで約40,000冊を所蔵している。

参考文献

タイトル 注記
【資料1】日本人の事典 / 佐藤 方彦/編集 / 朝倉書店 / 2003.6 <R/469.9/5003/2003> p.53-56
【資料2】味覚と嗜好 (食の文化フォーラム 24) / 伏木 亨/編 / ドメス出版 / 2006.12 <383.8/5314/2006> p.126-147
【資料3】日本人の味覚は世界一 「旨味」のわかる驚異の味覚はどこからきたか (廣済堂新書 036) / 鈴木 隆一/著 / 廣済堂出版 / 2013.12 <498.5/6521/2013> p.71-104, 105-142
【資料4】生活文化調査研究事業報告書 平成30年度 / [文化庁地域文化創生本部事務局/編] / 文化庁地域文化創生本部事務局 / 2019.3 <D/383.8/6013/2018> p.3-34
【資料5】食文化と嗜好 (食の科学選書 3) / 河野 友美/著 / 光琳 / 1991.2<5960/3150/91> p.75-93
【資料6】フードシステム学全集 第2巻 (食生活の変化とフードシステム) / 高橋 正郎/監修 / 農林統計協会 / 2001.10<588.0/5030/2> p.135-161
【資料7】雑誌 : 農業および園芸 88巻 7号 (2013年7月) / 養賢堂 / 2013.7 p.695-699
【資料8】雑誌 : 日本醸造協会誌 100巻 7号 (2005年7月) / 日本醸造協会 / 2005.7 p.468-477
【資料9】雑誌 : 日本家政学会誌 68巻 10号 通巻630号(2017年10月) / 日本家政学会 / 2017.10 p.39(547)-45(553)

転記用URL

https://catalog.library.metro.tokyo.lg.jp/winj/reference/search-detail.do?qesid=0010006321&lang=ja

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