調査・質問内容

質問番号 0010007990
状態 受付済
質問日 2023/10/13

「和紙」と「洋紙」という言葉は明治以降にできたものだと思うがいつが初出か。

図書館からの回答

回答状態 公開済
公開日 2024/08/29
関連質問番号

都立図書館蔵書検索及び末尾に記載のデータベース類を、件名<和紙>やキーワード<和紙><洋紙><初出><起源><語源>等を掛け合わせて検索した。

資料1 『和紙の手帖 第2巻』
p.152-155「使われ方いろいろ Q50 和紙とはどういう紙ですか。」(増田勝彦)
p.154に和紙の初出は、1872(明治4)年に書かれた『楮紙製造結社之義口上覚』(百武安兵衛 著)とある。
p.153に洋紙の初出は、西洋紙という言葉であるが、1805(文化2)年に刊行された『和訓栞』(谷川清 著)とある。

以下は『楮紙製造結社之義口上覚』が掲載されている資料である。
情報1 『日本紙業綜覧 昭和12年版』(王子製紙)(都立図書館所蔵なし)
p.480-485『楮紙製造結社之義口上覚』
(国立国会図書館デジタルコレクション インターネット公開: https://dl.ndl.go.jp/pid/1222443 該当のコマ番号:593-598)

以下は『和訓栞』が掲載されている資料である。
情報2 『倭訓栞 : 増補語林 上』(谷川士清 著)
p.539に「西洋紙」の記載がある。
(国立国会図書館デジタルコレクション インターネット公開: https://dl.ndl.go.jp/pid/991737 該当のコマ番号:311)

資料2 『紙の文化事典』 
p.219-220「第3章 3.9.1 b. 本に関する紙の歩み」(磯弘之)
p.219「日本での製紙工場の始まりは,1872年に渋澤栄一らによって「抄紙会社」という名の製紙会社が設立されてからであって,(中略)このころに「洋紙」という言葉が使われ始めたと思われる.」とある。
p.313-365「第4章 4.3 和紙の科学と技術」
p.313に「和紙とは,(中略)明治初期に洋紙技術の導入時に各地に伝統的に存在していた手漉き和紙を区別するためにつくられた言葉である.」とある。

資料3 『和紙文化研究事典』 
p.385-386「わし[和紙]」
p.385「「和紙」の語は明治初期に洋紙に対して生まれたもので(後略)」とある。

資料4 『和紙文化辞典』
p.352-353「わし[和紙]」
「日本で発達してきた独特の紙の総称。明治初期に洋紙に対して生まれた語で(後略)」とある。
p.339「ようし[洋紙]」
「もと西洋から舶来した紙。和紙に対する西洋式の紙。ヨーロッパで開発された連結抄紙機で、明治初期につくったものを内国産洋紙といったが、のちに舶来も内国産もふくめて洋紙という。」とある。

資料5 雑誌『デザインの現場』17巻 112号
p.140-149「第三部 情報・資料 知って得する紙の基礎知識」(原啓志)
p.140「[洋紙]」の項に、洋紙という言葉が使われ始めた時期について資料2と同様の内容が書かれている。
和紙についても洋紙という言葉が使われ始めた頃に、西洋紙と区別するために使われるようになったと思われるとある。

資料6 『国史大辞典 14』
p.892-893「和紙」
p.892「和紙は日本紙ともいうが、この名称は、外国産の紙(洋紙)と区別するために、明治時代につくられた言葉である。」とある。
また、参考文献の記載があり、例えば以下のような資料がある。

資料7 『日本紙業発達史』 
p.179-180「和紙、洋紙の区別」
p.179「和紙とは、洋紙が輸入或は抄造される様になつてから対照的に生じた言葉で(後略)」とある。

その他以下のような全文検索ができるデータベースにて、特定の語句が掲載されている資料を調べることができる。

国立国会図書館の「国立国会図書館デジタルコレクション」( https://dl.ndl.go.jp/ )や、「次世代デジタルライブラリー」( https://lab.ndl.go.jp/dl/ )をキーワード<和紙><洋紙>で検索すると、複数の資料がヒットする。
なお、「和紙」の場合、「わし」ではなく奈良県産の紙の一種である「やわらがみ」という意味で用いられている資料等もヒットする。

【調査に使用したデータベース類】(*印のついているものは、都立図書館で契約しているオンラインデータベースである。)
・国立国会図書館サーチ(国立国会図書館)https://ndlsearch.ndl.go.jp/
・国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館)https://dl.ndl.go.jp/
・次世代デジタルライブラリー(国立国会図書館)https://lab.ndl.go.jp/dl/
・レファレンス協同データベース(国立国会図書館)https://crd.ndl.go.jp/reference/
・日本語研究・日本語教育文献データベース(国立国語研究所)https://bibdb.ninjal.ac.jp/bunken/ja/
・Google(Google)https://www.google.co.jp/
・Googleブックス(Google)https://books.google.co.jp/
・雑誌記事索引集成データベース ざっさくプラス(皓星社)*
・MAGAZINEPLUS(マガジンプラス)(日外アソシエーツ)*
・ジャパンナレッジ Lib(ネットアドバンス)*
・ブリタニカ・オンライン・ジャパン(ブリタニカ・ジャパン株式会社)*

以上、インターネット情報の最終検索日及び最終アクセス日は2024年8月7日。

参考文献

タイトル 注記
【資料1】和紙の手帖 産地の状況・和紙の本質から用途まで 第2巻 / 増田勝彦/監修 / 全国手すき和紙連合会 / 1996</5858/3002/2> p.152-155
【資料2】紙の文化事典 / 尾鍋 史彦/総編集 / 朝倉書店 / 2006</585.0/5038/2006> p.219-220,p.313-365
【資料3】和紙文化研究事典 / 久米 康生/著 / 法政大学出版局 / 2012<R/585.6/5042/2012> p.385-386
【資料4】和紙文化辞典 / 久米 康生/著 / わがみ堂 / 1995<R/5856/3037/95> p.339,p.352-353
【資料5】雑誌:デザインの現場 17巻 112号(2000年11月増刊)紙の大百科 / 美術出版社<5002024996> p.140-149
【資料6】国史大辞典 14 / 国史大辞典編集委員会/編 / 吉川弘文館 / 1993 <R/210.03/32/14> p.892-893
【資料7】日本紙業発達史 / 西嶋東洲/著 / 弘文社創立事務所 / 1944</5850/2/44> p.179-180

転記用URL

https://catalog.library.metro.tokyo.lg.jp/winj/reference/search-detail.do?qesid=0010007990&lang=ja

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