事例詳細
調査・質問内容
質問番号 | 0010009053 |
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状態 | 受付済 |
質問日 | 2025/07/26 |
1938(昭和13)年に公布・施行された国家総動員法により、配給制度が施行された。その際、延べ15日以上の宿泊者のある世帯には「警察応急米配給証明書」が交付されたらしい。この制度の概要や、証明書による配給米の割当量が分かる資料はあるか。また、世帯員が15日以上不在の場合、世帯に配給される米の割当量は引かれたのか。主に東京の状況について知りたい。
図書館からの回答
回答状態 | 公開済 |
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公開日 | 2025/09/30 |
関連質問番号 |
都立図書館蔵書検索やインターネット(検索エンジン:Google)、また末尾に記載したデータベース類を、キーワード<警察応急米配給証明書><警察応急米><米穀通帳><三食外食>、件名<食糧管理制度><配給><衣料品>等を組み合わせて調査した。
旧字は新字に改めて記載した。
1 警察応急米の制度
資料1 『食糧管理史 各論 2』
p.56-58「第1章 昭和21年度 第4節 食糧配給に関する制度または対策 5 労務加配、外食券その他の制度 〔2〕応急米および救護米制度」
p.56に「応急米制度というのは、昭和16年4月1日から一般家庭用飯米が通帳による定量割当配給制を実施されたさい、一家庭内に多数の子女あるいは労務者などを擁する家庭、または他府県から不時のしかも相当期間滞在の来客などがあった場合において、定量配給では不足を生ずるような場合を考慮し、その救済策として設けられたもので、主として警察が取り扱っていたので警察応急米と呼ばれていたものであった。」とあり。
情報1 『日本戦時食糧政策』(伊藤書店)(都立図書館所蔵なし)
p.191-208「第三章 消費統制と非常時用食糧対策 第二節 割当配給制の実施」
p.201に「併し臨時滞在者があるとかで異動申告を行ふ迄の必要もないが、さりとて割当量の配給では不充分な場合も考慮しなければならないので、臨時滞在者が延十五日以上滞在する場合とか、(中略)臨時増配の申請を世帯主をして所轄巡査派出所又は駐在所に為さしめ、警察応急米配給証明書の交付を受けて、之を指定の米穀配給所へ持参すれば、配給を受け得ることになつてゐるのである。」とあり。
(国立国会図書館デジタルコレクション 国立国会図書館内/図書館・個人送信限定公開:https://dl.ndl.go.jp/pid/1066155 該当箇所のコマ番号:110)
資料2 『東京府米穀通帳制の解説』
p.14-16「第二 警察応急米並輸入者前渡米」
p.14「二、臨時需要米の配給」に「一般家庭用に対する応急米の配給」は「臨時滞在者が延べ十五日以上滞在する場合(滞在者が二人以上の場合は人数に滞在日数を掛ける)」「応召兵又は入営兵が臨時滞在する場合、この場合は滞在日数に関係せず」とあり。
p.15に「四、警察応急米の交付手続」の記載あり。
当該資料は「東京都立図書館デジタルアーカイブ」(東京都立図書館)にて公開しており、以下のURLよりインターネット上で閲覧可能。
https://archive.library.metro.tokyo.lg.jp/da/detail?tilcod=0000000009-00040559
資料3 『朝日新聞』1941年4月2日 東京 朝刊 4ページ
「お米の通帳制 家庭心得(2)/滞在する客には特別の配給 減つた場合も届ける」
警察応急米について、「応召兵や入営兵などの兵隊さんが、臨時にお宅に宿泊したときは、たとひ一日泊つた場合でも、もよりの巡査派出所(または駐在所)へ申し出れば、すぐにお米の特別配給をうけます。」「他の府県からお客さんがあつて、臨時の滞在者となるときは、延べ日数十五日以上お宅に滞在する場合に限つて特別配給がうけられます。」とあり。
2 「警察応急米配給証明書」による配給米の割当量
資料4 『東京市産業時報』8巻 10号 (昭和17年10月)
p.121-130「東京市割当制物資一覧表(昭和十七年八月現在)」
p.121「警察応急米配給証明書」の「割当量」に、「申請ノ都度一定基準量ニ基キ割当量ヲ査定」とあり。
3 世帯員が15日以上不在の場合、世帯に配給される米の割当量は引かれたのか
資料2(再掲) 『東京府米穀通帳制の解説』
p.3-4「第一 東京府米穀割当制実施要綱 一、米穀割当制要綱 7 異動」
p.4「(ホ)世帯員の増減、三食外食関係又は職業の種類(甲、乙、丙)に異動を生じた場合には異動申告の手続をなすと共に、通帳を所属町会長(部落常会長)に提示して、割当量の訂正を受けること」とあり。
また、p.21「第四 世帯又は世帯員に関する異動処理要項 一、異動の種別 乙、世帯員に関する異動 1 世帯員数の増減 (ロ)減少の場合」に「6 長期滞在者の退去又は長期不在予定者の発生(一ケ月以上の場合)」とあり。
資料3(再掲) 『朝日新聞』1941年4月2日 東京 朝刊 4ページ
「お米の通帳制 家庭心得(2)/滞在する客には特別の配給 減つた場合も届ける」
「世帯員が減つた場合、または一ケ月以上不在になる世帯員ができた場合には、ふえた場合と同じやうにすぐ「異動申告票」を出して、それだけの分のお米の配給を減らす手続をとることです」とあり。
【調査に使用したデータベース類】(*印のついているものは、都立図書館で契約しているオンラインデータベースである。)
・「国立国会図書館サーチ」(国立国会図書館)https://ndlsearch.ndl.go.jp/
・「国立国会図書館デジタルコレクション」(国立国会図書館)https://dl.ndl.go.jp/
・「レファレンス協同データベース」(国立国会図書館)https://crd.ndl.go.jp/reference/
・「Google」(Google)https://www.google.com/
・「朝日新聞クロスサーチ」(朝日新聞社)*
・「ヨミダス」(読売新聞社)*
・「毎索」(毎日新聞社)*
参考文献
転記用URL
https://catalog.library.metro.tokyo.lg.jp/winj/reference/search-detail.do?qesid=0010009053&lang=ja1/1