事例詳細
調査・質問内容
| 質問番号 | 0010009486 |
|---|---|
| 状態 | 受付済 |
| 質問日 | 2024/10/29 |
中国の宮廷では、目的や相手によって紙の種類や色などを使い分けていたと思う。
このことについて研究した本や論文を教えてほしい。
図書館からの回答
| 回答状態 | 公開済 |
|---|---|
| 公開日 | 2026/03/19 |
| 関連質問番号 |
都立図書館蔵書検索及び末尾に記載のデータベース類をキーワード<紙><書写材料><中国><唐><宮廷><使い分け><用途>等で検索し、ヒットした資料・情報を確認しました。
また、調査中に得られたキーワード<料紙><告身><黄麻紙>等も追加して調査しました。
中国の宮廷や公文書において、目的や対象によって紙を使い分けたという旨の記載が見出せた資料・情報を紹介します。
資料1『中国製紙技術史』
紙の研究者である潘吉星の『中国造紙技術史稿』の日本語訳です。
p.135-142「上編 製紙史通論 第四章 隋唐五代時代の製紙技術 二 紙の用途の多様化と紙製品の普及」
「唐代の法典では、およそ朝廷・官府の文書は、いずれもそれぞれの色の佳紙を用いることを規定している。」(p.136)とあり、唐の朝廷・官府の文書に使用される紙の使い分けの例を具体的に説明しています。
p.170-180「上編 製紙史通論 第五章 宋元時代の製紙技術 二 各種の加工紙と名紙」
宋代にて、「とりわけ内府の各館閣の政府当局の文書、写本はいずれも黄紙を用いることを規定している。」(p.172)とあります。
資料2『造紙の源流』
p.31-47「中国の紙の原料」
さまざまな原料から作られる紙について述べる中で、「詔令・箋表などの公文書には白麻紙を、写経には黄麻紙を用いたという。」(p.35)とあります。
また下記の項目では、中国におけるさまざまな紙の由来や用途を説明しています。
参考までにご紹介します。
p.109-124「中国の紙名略解」
情報1『東アジア古文書学の構築 : 現状と課題』小島浩之 編 東京大学経済学部資料室 2018.3(都立図書館所蔵なし)
p.1-24「中国における記録媒体の変遷再考 文書料紙を中心として」(小島浩之)
「唐初から上級官僚には表面に金を散らした料紙や金泥により鳳凰を描いた料紙が、中下級の官僚には魚牋や金牋と呼ばれる料紙が使われていたことがわかる」(p.8)等とあります。
この資料は、東京大学学術機関リポジトリにて本文を閲覧できます。
http://hdl.handle.net/2261/00077177
p.37-62「唐代公文書体系試論 : 中国古文書学に関する覚書(下)」(小島浩之)
唐代の紙の使用について、「料紙の種類で比較すると、麻紙は籐(藤)紙に比べてより古くから使われる格上の紙であり、その使用の差は内容の軽重に基づいている。」(p.44)とあり、内容による料紙の使い分けについて表形式で説明しています。
この資料は、東京大学学術機関リポジトリにて本文を閲覧できます。
http://hdl.handle.net/2261/00077180
資料3『隋唐の詔勅』
p.51-53「序説 隋唐詔勅研究の意義と回顧 二 隋唐宋の王言 7 唐代詔勅の料紙」
唐代の詔勅の書写材料(料紙)を種類ごとに説明しています。
資料4『唐告身と日本古代の位階制』
p.8-19「魏晋南北朝告身雑考 木から紙へ 三 告身の書写材料」
p.11に、「(前略)ほぼ東晋末までの資料によると、材料からいえば紙の方が木よりもより重要な事に用いられ、紙の中では黄紙の方が白紙よりもより重要なことに用いられたことが明らかである。」とあります。
また、参考として、関連する記載がある資料を紹介します。
資料5『料紙と書 東アジア書道史の世界』
p.259-268「中国書法史における装飾加工紙について」(富田淳)
着色や加工した紙を書写に使用していたことを説明していますが、それらを使い分けていたという記載は見出せませんでした。
資料6『古文書料紙論叢』
p.647-662「第7部 東アジアの文書と外交文書の料紙 中国古文書料紙研究への視角」(小島浩之)
情報1と同じ著者による資料です。
p.657「おわりに」に「これまでの中国前近代の紙についての研究は、写本や絵画の料紙分析が中心で、文書料紙に特化した形で体系的になされた分析は皆無といっても過言ではない」と記載があり、中国古文書料紙研究の現状と課題を説明しています。
【調査に使用したデータベース類】
・国立国会図書館サーチ(国立国会図書館)https://ndlsearch.ndl.go.jp/
・国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館)https://dl.ndl.go.jp/
・リサーチ・ナビ(国立国会図書館)https://ndlsearch.ndl.go.jp/rnavi
・レファレンス協同データベース(国立国会図書館)https://crd.ndl.go.jp/reference/
・CiNii Research(国立情報学研究所)https://cir.nii.ac.jp/
・J-STAGE(科学技術振興機構)https://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja/
・Google(Google)https://www.google.co.jp/
以上、インターネット情報の最終検索日及び最終アクセス日は2026年1月27日です。
参考文献のうち、資料1、3~6は都立中央図書館所蔵資料、資料2は都立多摩図書館所蔵資料です。
参考文献
| タイトル | 注記 |
|---|---|
| 【資料1】中国製紙技術史 / 潘吉星/著, 佐藤武敏/訳 / 平凡社 / 1980.11 <5850/43/80> | p.135-142, p.170-180 |
| 【資料2】造紙の源流 / 久米康生/著 / 雄松堂出版 / 1985.3 <D/5856/72/85> | p.31-47, p.109-124 |
| 【資料3】隋唐の詔勅 / 中村 裕一/著 / 汲古書院 / 2023.6 <322.2/5130/2023> | p.51-53 |
| 【資料4】唐告身と日本古代の位階制 / 大庭 脩/著 / 皇学館出版部 / 2003.11 <322.2/5034/2003> | p.8-19 |
| 【資料5】料紙と書 東アジア書道史の世界 / 島谷 弘幸/編 / 思文閣出版 / 2014.3 <728.3/5029/2014> | p.259-268 |
| 【資料6】古文書料紙論叢 / 湯山 賢一/編 / 勉誠出版 / 2017.6 <210.02/5858/2017> | p.647-662 |
転記用URL
https://catalog.library.metro.tokyo.lg.jp/winj/reference/search-detail.do?qesid=0010009486&lang=ja1/1




















